絹谷 幸二

1年に1回の、このコンテストの審査を毎年とても楽しみにしております。こんないい絵は他に見ることが出来ず、それは子どもたちが心で感じて描いてくる絵だからでしょう。
我々審査員も、それぞれが「自分はこの絵が好きだ」という直感と、心に感じた絵を選んでいます。私の師である小磯良平も、「上手い下手で選ぶのではなく、自分が好きだと思ったものを選ぶこと、また自分が好きなものを描かなくてはならない」と教えてくださいました。

今回の審査では、お母さんのお腹に赤ちゃんがいる絵を何点か見受けました。
地球は、自分たちが生きている間だけ存在するものではなく、これから生まれてくる子どもたち、まだこれからずっと先に生まれてくるであろう、今は出会うことのない子どもたち、そういう子どもたちにいい地球を残していかなければならないと、絵を描いてきた彼らは直感的にそう感じたのでしょう。とても素晴らしいことだと思います。

応募されてくる絵は、子どもたちの心が映し出されている、鏡のようなものだと思います。日頃から思っていること、考えていることが、1枚の絵を見るだけで伝わってきます。また、絵は言葉が通じなくても自分の気持ちが相手に届き、言語を飛び越え、心と心を繋ぐものだと、審査をさせて頂く度に強く感じます。子どもたちの絵は本当に率直で、1冊の哲学の本よりも内容が厚く、真剣に見れば見るほど、深いエッセンスが含まれています。
各地でこのコンテストの展示を行なっていますので、機会があれば子どもだけでなく、大人たちにも是非見てもらいたいものです。非常に有意義な時間を過ごせると思います。

審査委員長
画家・東京芸術大学名誉教授
絹谷 幸二


絹谷幸二
1943年奈良県生まれ。1966年東京藝術大学絵画科油画卒業、1968年同大学院修了。芸大卒業後、1971年にイタリアへ留学、ヴェネツィアでアフレスコ古典画(フレスコ画)の技法を研究する。1974年、当時史上最年少で安井賞を受賞、若手洋画家として期待される。その後メキシコ留学などを経て、1993年東京芸術大学教授に就任、後進を育てる。2000年に日本藝術院会員となる。現在は、大阪芸術大学教授に就任。代表作に長野冬季オリンピック公式ポスター等多数。

Kimura Yasumasa

今年も世界の多くの国々から子ども達がこのコンテストに参加し、沢山の夢や希望、想いに溢れた作品を描いてくれた事に心から感謝申し上げたいと思います。

「地球は誰のもの?」という今回のテーマに即し、世界中の子ども達が環境問題について真剣に向き合った作品を寄せてくれました。一つ一つの作品に、子どもたちの鋭い観察力、洞察力を感じ、感銘を受けました。また今回の審査を通じて、子ども達の柔軟な感性と素晴らしい表現力を改めて実感することもできました。子ども達の環境問題についての関心の高さに加え、作品から読み取れる未来に向けてのメッセージの力強さには目を見張るものがあります。これらの絵を通じた子ども達からのメッセージは、われわれ大人達に日常の中で忘れてしまいがちな自然の大切さや地球の尊さを教えてくれるものです。

UNICEF(国連児童基金)では、世界の全ての子ども達が、持って生まれた可能性を最大限に発揮できる社会の実現を目標に、様々な関係機関と連携しながら、世界190以上の国と地域で活動を続けています。かけがえのないたった一つの地球を守る為に、子どもたちに託された可能性や期待は無限大です。私も、今回出逢えた全ての応募作品に込められた子ども達の想いを真摯に受け止め、全ての子ども達に相応しい世界の実現の為に努力していきたいと思います。

最後になりましたが、毎年このように、世界中の子ども達が地球環境についての想いを描く機会を与えてくださる関係者の皆様に、UNICEFを代表して深くお礼申し上げます。

UNICEF(国連児童基金)東京事務所
代表  木村 泰政

延藤 安弘

生命文化の育み

地球環境の現実への子どもたちの眼差しは多様である。自然災害や環境破壊などの危機に対して深刻な批判、一方生きとし生けるもの共に生きることへの親和的共感、さらに地球環境は未来の世代のものという鋭い視点など…。

海外(ポーランド)の作品には、主題をめぐる全体認識と私の関わりの両面を描くものがあった。それは、都市化・人工化の過剰と自然化・野生化の保存の厳しい対立の構図を描きながら、両者のバランスをとるのは子どもの関わり方如何であることを示す見事な表現。

子どもが身近な環境にじかに触れて体感する生命文化の育みは、子どもと地球環境の同時育成の点から非常に大切である。日本のある子どもの作品に、はだか麦が風の中で戯れ、美味しいお味噌を食べる生活の豊かさと平和を謳歌する表現が見られ、自ずから微笑みが誘われた。

このコンテストは17回目をむかえるが、世界中の子どもが地球環境を守り持続させる担い手として育つ仕掛けとして、かけがえのない役割を発揮している。次年度もワクワクする作品に出会えることを楽しみにしている。

建築家・NPO法人まちの縁側育くみ隊
代表理事  延藤 安弘

辰巳 菊子

世界94カ国から17,197点もの応募があり、最終審査に残った作品を見せていただきました。今年のテーマ「地球は誰のもの?」は、さまざまな発想が引き出される取り付きやすいテーマだったと思います。

とはいえ、目の前にある子どもたちの絵からは、思いもしなかった重い訴えも聞こえてきました。かつてお年寄りから聞いた話が、心のどこかの特別なセンサーに触れ、働いたようなそんな絵もありました。子どもたちの思いの発露は、頭からではなく私には想像もつかない器官が働いているような気がします。

いずれも五感をフル騒動して溢れ出た思いを素直に色と形でぶつけたものであり、先ずは、負けたなぁという思いで、いつもこの打ちのめされるような感覚を楽しませてもらっています。

どんな思いで描いているのだろうと、子供の思いに少しでも近づきたいな、近付ければいいなと思い、ひとつひとつ丁寧に見せていただいていると本当に時間がかかります。それでも描いている子どもたちはその何十倍、何百倍の時間をかけて描き上げてくれています。きっとその時間は楽しい時間であっただろうと想像しています。

応募をしたことが子どもたちの記憶に深く残り、機会ある毎に地球は誰のものなのかとこれからも考えてくれることを期待しています。自分の経験からも、子どもの時に強く感じたことは一生憶えています。特に自分の絵が世界を巡って、多くの人々に喜びや感動を与えていると知る喜びはきっとすばらしい栄養となると思います。

公益社団法人 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会
常任顧問  辰巳 菊子